子どもの最貧国・日本 (光文社新書)
子どもの最貧国・日本 (光文社新書)
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<感想>

この種の本は今まで読んだことがなかった。
深刻な現状を深く憂えるようになった。

子どもの貧困、特に幼少期の貧困は、その子の人生トータルで考えると社会的コストを増やしてしまうそうだ。
低学歴になる、大きくなっても自分も貧困、貧困だと病気にもかかりやすい、社会保障費がよけいにかかる、その子の子どもも貧困になり連鎖する、など引用するときりがないくらい。

その解決策は、子どもの貧困を減らすこと。
具体策は私の頭の中ではイメージできない。
政治的にも問題を考えなければならない。

貧困に瀕して困窮している母子家庭があったとして、よくある対応は
「子どもを施設に預けて働きなさい」
というものだそうだ。
これには、問題がある。
子どもが親と離れて暮らすのは、人格形成に非常に大きなダメージを与える。

本書には書かれてないワーキングプア問題と併せて、日本の将来を考えるのに論じなければならない問題だと思う。

本書は、経済学者大竹文雄氏のブログで知った。
この本を手にする人が、ひとりでも多くなることを願う。

<目次>

はじめに
 ケース1”別離”
 ケース2”空腹”
 ケース3”暑さと心臓病”

I 概論

 1章 貧困化の著しい日本の子どもたち

  子ども貧困リーグ
  豊かさと貧しさが同居する国・アメリカ
  ユニセフレポートの意味するもの
  子どもの貧困率の上昇著しい日本
  児童相談所で出会う困窮状態の家族たち
  社会の「目」と「声」
  日本のひとり親家庭の貧困率は主要先進国No.1
  働くことが貧困から抜け出すチャンス
  「働けど楽にならざる」−−日本のひとり親家庭
  社会保障と子供たちの貧困
  特異な日本の家庭福祉政策

 2章 なぜ子どもたちは貧困に陥ったのか?

  自己責任論・人的資本論
  魅力的な自己責任論
  機会不平等論
  ゲームのルールを考える
  ケース4”引きこもる父親”
  貧困の文化論
  「違い」と「多様性」の国・アメリカ
  日本の場合−文化をもっと広く考える
  水上生活者だった母親
  批判された貧困の文化論
  スラムやゲットーの形成と荒廃
  社会経済の構造から貧困を考える
  個人の責任と社会の責任の間で

II 現実

 3章 学力格差と児童虐待

  学力と経済力
  PISA
  教育社会学の研究−−親の所得を含んだ研究
  親の学歴・職業か親の所得か
  JELS2003の限界と次章以降への課題
  児童虐待と貧困
  日本における児童虐待と貧困の関連性
  家族が抱える語りきれない苦労
  アメリカの教訓と私の渡米理由
  次章への課題

 4章 脳・身体・こころへの影響

  ハワイ・カウアイ島での研究
  身体的影響
  問題が問題を生む貧困という正体
  ケース5”頑張って赤ちゃん育てるから”
  ケース6”涙を流して産んだのに”
  ドラッグベビーと貧困問題
  乳幼児の脳の発達と貧困問題
  知的な発達への影響
  親の関わり方や学習環境を入れると
  子どもたちの年齢による影響の違い
  情緒的な発達への影響
  ケース7”なんで俺ばっかなんだよ!”
  アメリカのスラム街で
  家族の所得と発達との相関関係とは
  発達と所得の非直線的な関係
  漏斗の底にいる家族たち
  収入増はポジティブな変化をもたらすか

 5章 貧困が子どもたちを蝕むプロセス

  貧困と心理的ストレス
  家族ストレスモデル
  貧困と親子関係
  児童虐待と家族ストレスモデル
  ケース8”先が見えない”
  ケース9”ちょっとしたきっかけで”
  家庭内の環境
  家と貧困
  ケース10”性的虐待の通報なのに”
  「住宅貧乏」の国・日本
  児童虐待と住宅の貧困
  ひとり親家庭
  ひとり親家庭の負の側面を払拭した研究
  ひとり親の育児の大変さ
  社会的サポート
  リスクの累積性とストレスフルな生活上の出来事

III 対策

 6章 生活保護と児童養護施設はいま?
  
  生活保護制度はいま
  ”子どもを施設に入れて働いたら?”
  オックスフォード大学教授が見た日本の児童養護施設
  1909年のアメリカ・脱施設宣言
  職員の少なさ
  別離のトラウマ
  児童養護施設のいま
  アメリカ人に理想像と映る日本の生活保護制度
  「水際作戦」の本当の被害者は誰なのか?
  生活保護の制度改革に子どもたちの貧困の視点を
  児童養護施設vs.生活保護制度

 7章 各国の貧困対策に学ぶ

  60%の貧困ライン・EU
  首相による子どもの貧困根絶宣言−イギリス
  貧困な子どもたちへの社会的投資
  相対的所得仮説
  子どもたちの貧困の社会的コスト
  収入維持実験
  ブレアの作戦は効果を発揮したのか?
  アメリカはなぜ貧困を減らせないのか?
  そして日本…

参考文献←非常に浩瀚
あとがき